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一般社団法人倫理研究所は、生涯学習を推進する民間の社会教育団体で、「日本創生」「地球倫理の推進」を旗印に活動しています。すべての活動の原点は、昭和20年に丸山敏雄が起稿した論文『夫婦道』に遡ります。
丸山敏雄は、明治25年に福岡県の農家の四男として生まれました。信仰心が厚く厳格な父親から常に「信を取れ!」と言われ続けましたが、仏門には進まず、教育者をめざします。高等小学校を卒業後、小倉師範学校・広島高等師範学校を経て教師になりますが、37歳で教職を辞して、広島文理大学に入学します。教師であるとともに、日本古代史・国体の研究者であった丸山敏雄は、当時世に広まっていた左翼運動が日本の国体へ与える影響を危険視していました。国体に対する信念と哲理を把握することが急務だと考え、さらなる研究の必要性を感じたゆえの決断でした。大学では、日本古代史と神祇史の研究に没頭するとともに、当時の著名な倫理学者であった西晋一郎(1873~1943)の薫陶を受けます。後に丸山敏雄は「純粋倫理」を発見し唱導しますが、この頃の学びが純粋倫理の論理的な基礎を築きました。戦後は、荒廃した日本の精神的・倫理的な再建をめざし、昭和20年9月3日に論文「夫婦道」の執筆に取りかかります。敗戦により焦土と化した日本の復興を願い、荒廃する道義の再建を自身の任として、純粋倫理を世に広めるべくその第一歩を著したのです。すべてを生み出だす基は夫婦であり、夫婦が互いに尊重し合い、互いの役割を全うし、正しく性を営むことが生命の永続には欠かせません。普遍的な夫婦のあり方を示すことが道義を再建し、平和な文化を建設するためと丸山敏雄は考えました。「この平和と世界文化建設の大任に入る」と当時の日記に記しています。昭和22年には「社団法人新世会」(後に倫理研究所に改称)を設立し、純粋倫理による国民の啓蒙活動を本格的にスタートさせました。たった一人で創めた道義再建運動はやがて、多くの共鳴者・賛同者を得て、倫理運動として戦後の日本に拡がって行きました。

純粋倫理の特長の一つに「徳福一致(とくふくいっち)」があります。すなわち、「純粋倫理の実行と幸福が一致する」ということです。旧来の道徳・倫理は、規律や規範の要素が強く、「正直者が馬鹿を見る」というように、守ったからといって必ずしも幸福にはならないということも少なくありませんでした。特に混迷する社会では道徳・倫理は浸透しづらく、道義の再建には「徳福一致の生活法則」の発掘が必要不可欠であると考えた敏雄は、旧道徳・倫理の学問的探究に加えて、古典や歴史に記された真理を継承し、実生活における実験・実証を繰り返しながら純粋倫理を確立しました。昭和24年に『万人幸福の栞』を発刊し、純粋倫理のエッセンスを17カ条にまとめています。

たとえば、第一条「今日は最良の一日、今は無二の好機」があります。寒い日、暑い日、晴れた日、雨の日と色々ありますが、どの日が良くて、どの日が悪いということはありません。今日が一番良い日なのです、しかも、その今日は「今」の集まりですから、今が一番良い時なのだと、気づいたことをただちに行って、テキパキと処理します。こうした生活を続けていくことで、心配事がなくなり、心は明るく物事も順調に運び、幸せになっていくのです。ほかにも、「苦難は幸福の門」「子は親の心を実演する名優である」「希望は心の太陽である」「己を尊び人に及ぼす」などがあります。それらはすべて、具体的な実践内容であり、実行すれば必ず結果が表れることを、これまでに多くの人々が実行し、証明してきました。『万人幸福の栞』は現在でも純粋倫理の原典として、また生活の折々での実践の指針として、老若男女を問わず活用されています。

昭和初期、第二次世界大戦を予感させる不安な時代を背景に、日本では思想統制の一環として、不敬罪、あるいは治安維持法違反という名目で多くの宗教団体が激しく弾圧されました。当時、「ひとのみち教団」の幹部であった丸山敏雄もまた獄中生活を余儀なくされました。連日、理不尽きわまる取調べが行なわれ、激しい拷問が続く中、丸山は〈謂れなき罪とはいえ、牢獄に囚われた自分に対して、亡き両親は悲しんでいるに違いない〉と、涙しながら両親へ詫びる日々を送りました。やがて「父母の愛情にふれなければ人間というものはなにもわからない」「苦しみはそのまま美となる」ことを知った丸山は、宗教の道を脱するとともに、仮出所後の長い裁判期間には、さらに古典や真理の探究を進めました。獄中での「涙の交流」やその後の探究の日々は、前述にある丸山が発見・提唱する「純粋倫理」(「誰でも守れば必ず幸福になれる道」「普遍の生活法則」)に大きな影響を与えました。

一般社団法人 倫理研究所
http://www.rinri-jpn.or.jp/

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